【家島支部の紹介】家島に移住してわかった本当の魅力|暮らし・教育・地域のリアル
- 和也 中西
- 11月22日
- 読了時間: 11分
★この記事を書いた人
👤関東出身、東京暮らし7年
👤20代女性、独身
👤家島に移住して、2年目
こちらの記事では、家島移住者の目線から、実際に住んでみて感じる家島の魅力や困りごとなど、暮らしのリアルをそのままにお届けいたします。少しでも家島で暮らすイメージが湧いて、「こんな暮らしもありかも…!」と考えるきっかけに繋がれば幸いです。
★こんな方に読んでほしい!
💭少人数で、目が行き届く教育環境の学校に通わせたい…
💭海を近くに感じたら、少しずつでも心が穏やかになるかな…
💭競争社会ではなく、のびのび過ごせる環境で暮らしたい…
💭こどもの生活環境を変えてもいいかなと思っている…
家島の紹介

さて、家島ってご存じでしたか?「…知らない…姫路に島なんてあったんだ」「聞いたことはあったけど、どこにあるんだろう」そんなお声が聞こえてきそうですね。実は、兵庫県民にもまだあまり知られていない、知る人ぞ知る離島なんです。
兵庫県姫路市の南部、姫路港から高速船に乗って約30分。瀬戸内海の播磨灘に浮かぶ家島は、面積5㎢ほど、人口約2,200人のコンパクトな離島です。関西圏からも気軽にアクセスできるのに、ゆったり流れる島時間や島らしい豊かな自然に癒されます。コンビニはないけど、お茶目なご主人との会話が楽しい駄菓子屋さんがある。映画館はないけど、どこか懐かしい路地裏の情景に心が躍る。徒歩で行ける距離に美しい海が広がり、自然そのものが遊び場になる。そして利便性や効率重視の都会暮らしでは味わえない、“何もしないが許される”豊かな日常があります。
そして私が直感で惹かれたのが、家島という地名の由来。昔むかし、初代神武天皇が大嵐の瀬戸内海を航海中に、避難すべく家島に立ち寄ったことがあったそうです。湾内へ入った途端に荒波が収まり、「まるで家の中にいるようで静かだ」と仰ったことから「家島」と名付けられたと言われています。
移住者目線から感じる家島の魅力

実際に住んでみると、この言い伝えの通り「家」を感じさせる要素こそが、家島の魅力だと感じています。本土から島に帰ってくるとホッと落ち着く、まさに「家」のような安心感があります。さらに島に住む人たちが、まるで「家族」のようにフレンドリーであったかいんです。島民同士はほとんどが顔見知りですし、島外から来た人にもオープンマインドの方が多い印象です。当初は、見ず知らずの移住者である私を受け入れてもらえるか不安でしたが、少しでも不信感を払拭できるようにと、すれ違う島の方々には自分から先に笑顔で挨拶するなど積極的にコミュニケーションをとっていました。するとほどなくして、島の方々から「最近よく見かけるねえ、どこから来たのー?」と声を掛けてもらえるようになりました。移住して早1年半が経ちますが、今ではほとんどの方が顔見知り。すれ違う度にニコニコ微笑んで手を振ってくれたり、道端で立ち話をしてみたり、島の暮らしに溶け込めている何気ない日常をとても尊く感じます。ちゃんとご飯を食べているか気にかけてくれるなど、都市部に住んでいた時には考えられなかった、人との繋がりの濃さに何度も救われています。人のあったかさに触れると、こんなにもじんわりと心が豊かになるんだ、と大事なものに気づかされました。この島が大好き!心豊かに過ごせている感謝を伝えたい!という内側から湧き出る気持ちがあったからこそ、家島の「家」のようなあったかさに溶け込めているのかなと日々実感します。
島全体がファミリーのような空気感は、島の教育にも浸透しています。小学校は全校児童29人と少人数。教職員は12人。先生や地域の大人たちの目がしっかりと行き届いており、みんなで子供たちを見守ろうとしている雰囲気があります。また、都市部では“集団行動”が優先されがちですが、ここでは一人ひとりの“個性”が尊重され、のびのび子育てができるアットホームな環境です。
例えば、総合的な学習の時間(通称:うみの時間)を用いて実施される探究学習では、子供たちの主体性を育む教育方針が印象的です。一番力を入れている教育課程だそうで、子供たちの「やってみたい!」を実現できるよう先生方が手厚くサポートしています。令和6年度には、水産物や観光など興味・関心に合わせてグループに分かれ、家島の魅力を広めるために自分たちができることを考え取り組んでいました。地域の方にインタビューを実施したり、活動範囲を島外にまで広げたり、アイデアを形にしたり…年度末の活動発表会では、丁寧に作り込まれた発表スライドや堂々としたプレゼンテーションを披露し、そのレベルの高さは大人顔負けでした。
現代の子供たちはこんなにもデジタル機器を使いこなせるのかと驚きましたが、どうやら家島小学校の教育カリキュラムが関係しているようです。島の教育というと、どうしても都会の学校より遅れているイメージをお持ちになるかもしれませんね。そんなイメージとは異なり、家島はむしろ最先端。ICTを活用した教育がいち早く導入され、1人1台のタブレット端末を活用する学習やインターネット利用も積極的に取り入れています。また、少人数ゆえに「個別最適な学び」にも適しています。児童数の多い都市部の学校では、どうしても一斉授業になりがちですが、家島では一人一人に時間を掛けられて、その子の特性に合わせた柔軟な個別指導が叶います。
さらに発表会で印象的だったことは、一人一人が感想や意見を述べられる時間が設けられていたことです。発言に対して、正解を求める雰囲気ではなく、素直な意見を尊重することを大事にされています。そのため人前で発言するハードルが低く、子供たちも自分の意見をしっかり持ち、伝える機会が豊富にあると感じました。
他にも、島内の漁業従事者の全面協力により6年連続で実施されている「魚つかみ体験」は、島ならではの教育。年中通して、地域と連携する学校行事や公開授業も多く、地域の方々が子供たちの笑顔や成長を見守る機会がたくさんあります。そして子供たち以上に保護者の方々が思い切り楽しんでいる光景も、家島らしさ。このように地域が一体となり、世代を問わず繋がりを大事にしているからこそ、ファミリー感が生まれるのでしょう。周りに笑っている大人が多い環境は、子供たちの幸せにも繋がっていそうです。
家島小学校の教育は、自然や地域との関わりによる感受性の育成と時代に合わせた能力の向上、どちらも取り入れられている点が魅力です。「子供がのびのびと笑っている姿を見たい」そんな親の願いを、ここでは地域ぐるみで叶えてくれるように感じます。
移住者体験談・事例紹介
家島の雰囲気や温かさを感じていただけましたでしょうか。でも、小さな島で狭いコミュティだから、仲間意識が強く支え合って暮らしているんじゃない?と思いますよね。縁もゆかりもない地域に移住するとなると、そこで生まれ育った方からしたら、ヨソ者。受け入れてもらえるか、馴染めるか不安になると思います。
家島では過去に島外からの転校生を受け入れたことがあるので、ご紹介します。神戸市内の学校に通っていた中学2年生の女子生徒とご家族が令和3年に家島に移住され、家島中学校に転入後、卒業までの1年半を過ごした事例があります。都市部の学校に息苦しさを感じていましたが、家島ではすぐに馴染めて、次第に明るい気持ちを取り戻せたと聞いています。高校進学のタイミングで神戸市に戻られましたが、家島から神戸に帰る日には、同級生が港に集まりお見送りをしてくれた、感動のお別れがあったとか。
移住時に働き口の紹介等で関わりのあった「はりまのいばしょ」代表理事の中西氏は、3年以上経った今も親御さんと連絡を取り、夏の大きなお祭り(家島天神祭)を見に来てくれるなど、その後も関わりを持ち続けているそうです。先日も親御さんにお会いして、「(娘さんは)今は大学生となって楽しく学生生活を送っています。家島で過ごした時間があるから今があるなあとしみじみ思っています」と近況報告を聞き、心温まる思いだったと語っていました。
「はりまのいばしょ」事業紹介
実際に家島で暮らしてみたい、島での子育てが気になる、と思っても、家探しや地域の人との関わりに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
その不安を少しでも軽減させたいと設立されたのが、「一般社団法人はりまのいばしょ」。令和7年1月に設立した、姫路市・たつの市・相生市の広域連携による居住支援法人です。住宅セーフティーネット法に基づき、子育て世帯や一人親世帯など民間の賃貸住宅を借りるのが難しい方々が、円滑に入居できるよう支援を行っています。家島支店では、移住14年目の家島案内人が対応し、空き家の紹介や移住前後のサポートをします。家島に知り合いがいなくても、安心して暮らし始められる仕組みを整えておりますので、家みたいにあったかい家島に飛び込んでみてください。
地域の移住制度紹介
姫路市には移住制度として「グリーンファミリー制度」があります。また、家島には2つの自治区「宮区会」と「真浦区会」があり、給食費が無料など独自の子育て支援もなされています。
島暮らしのポジティブ要素とネガティブ要素

移住制度や相談窓口が整っているとはいえ、住環境を変えることは非常に大きな決断だと思います。“島暮らしのリアル”を知っていただくために、実際に家島に移住した私自身の体験から、ポジティブなこと、ネガティブなことを具体的にご紹介します。ぜひ島での暮らしをイメージする参考にしてみてください。
まず島暮らしを疑う意外な点は、インターネット環境が整っていることです。山に囲まれている場所など島内の一部のエリアでは繋がりにくいこともありますが、本土に比べて比較的人が少ないためか、インターネット利用の混雑を感じたことはなく快適です。テレワークをされている方でも安心して仕事をしていただけます。自宅にはWi-Fiも開通させることができました(エリアにより開通可否は異なる)。
またネットショッピングが可能なことも驚きでした。送料や運送費がかからないものもあり、本土で利用していた時とほぼ同じ感覚で利用しています。夕方に注文した商品が翌朝に届いたときには、島にいることを忘れました。島内へ荷物の配達をしてくださる貨物船や郵便配達員の方も顔見知りなので、配達時間等、柔軟に対応していただけることも非常に助かっています。
そして気になる、島暮らしの買い物事情。島内には個人商店が複数あり、日常使いの食材や飲料、お菓子、アイスまで揃っています。ただ、船の輸送費がかかるため、コンビニより少し高いくらいの価格帯です。チェーン店のスーパー、100円ショップ、ドラッグストア等はないので、島内で買えない食材や日用品は、姫路本土に船で渡った際に買い込むようにしています。夕方の船で帰ると、両手いっぱいに買い物袋を提げた島民の姿もちらほら。日頃から買い物リストを溜めておき、限られた時間でいかに効率よく店舗を回って買い出しできるか、日に日に段取り力が向上している気がします。
そして島といったら、おいしい鮮魚。家島では、鮮魚店や商店の軒先に生け簀が置かれ、生きたままのお魚が売られています。時には、大きなタイを自宅でさばいてみたり、タコを丸ごと購入してタコ尽くしパーティーをしたり、お造りを手軽に注文できたり、我が家の食卓かと目を見張るほどの魚料理を楽しめます。日常的に海の幸を堪能できるのは、まさに島暮らしの特権です。
定期船の運賃は大人片道1,000円ですが、10歳までは無料(定期船運行会社により規定が異なる)など、子育て世代に喜ばれています。 生活するうえでは気候も重要ですよね。私自身、晴れの日が多い地域に住みたいと願って選んだ家島移住。比較的温暖で雨が少ない瀬戸内式気候のため、晴れの日が多く理想の暮らしが叶っています。姫路本土は曇っていても島は晴れているなんてこともよくあります。冬場の朝晩の冷え込みは厳しいですが、氷点下や降雪になることはほとんどなく、晴れた日の日差しの下なら、上着を脱いでも過ごせるほどポカポカです。ただ、海に囲まれた離島なので湿度はかなり高く、住居のカビ対策は必須です。自宅には新たに除湿剤や大型乾燥機を導入するなど、快適な住環境のために工夫が必要でした。 思い返すと一番苦労したのは、引越しかもしれません。引越し手配のために連日各所に問い合わせをし、丸1ヶ月費やしたので根気が必要でした。私の場合は移住者の方と繋がりを持てて、引越し手段や島暮らしのコツなどを事前に相談でき、コミュニティも紹介していただけたからこそ、家島での暮らしにすぐに馴染めたと思います。正直なところ、頼れる存在がいない状態で島に移住するのは、非常にハードルが高いことも事実です。「はりまのいばしょ」に相談していただくでもいいですし、移住に際し、頼れる心の拠りどころがあるのは心強いと思います。
最後に
島暮らしは、もちろん不便な面もありますが、それ以上に心が豊かになる瞬間がたくさんあります。これだけ島の魅力を熱弁しましたが、やっぱり家島の「家」のようなあったかさは、実際に身を置いて五感で感じていただきたいものです。忙しなく過ぎる日常に息が詰まったら、ちょっと心の荷物を降ろしに、家島に一度ふらっと来てみてはいかがでしょう。
移住相談は、些細なことでも、具体的に決まっていない段階でも大丈夫ですので、気負いなくお問い合わせしてみてください。この記事が、心が軽くなる未来のきっかけになれば、この上なく嬉しく思います。

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